ブックレット・ロゴス

ブックレット・ロゴスNo.1 『閉塞を破る希望──村岡社会主義論への批評』
村岡 到:編

『閉塞を破る希望──村岡社会主義論への批評』ブックレットロゴスNo.1
2008年1月6日刊行
四六判 142頁 1500円+税
ISBN978-4-7807-0284-2 C0036

目 次
はしがき

Ⅰ『悔いなき生き方は可能だ』への批評
 村岡到さんへの手紙           山田太一
 「愛」の理念からの探求         斉藤日出治
 「チャベス革命」がとりもつ縁      石橋 純
 人生と社会の在り方への真摯な問いかけ  紅林 進
 協議社会主義の原像           小松善雄
 村岡社会変革論の現実性と空想性     千石好郎
 「敵」側に立っていた者として      霧山 昴
 村岡到さんとの二九年          岡田卓己

Ⅱこれまでの著作への批評
 自由な精神による新しい理想への挑戦   塩沢由典
 政治と法に焦点を当てた社会主義     斉藤日出治
 政治の多元主義的把握への野心的な試み  西川伸一
 則法革命への疑問            深津真澄
 社会主義と法のあいだ          大江泰一郎
 日本共産党の再生力への期待と確信    碓井敏正

村岡到『不破哲三との対話』を読んで
   『社会主義はなぜ大切か』への感想
 梅原 猛 斉藤日出治 久留都茂子 丸山南里 青木國彦 望月喜市 池田一貴

付録 「社会主義の政治システム」は「民主政」 村岡 到

あとがき

詳しい目次

 はしがき

 この四月に『悔いなき生き方は可能だ──社会主義がめざすもの』を刊行した。以前にすでに発表している論文を整序して編んだものにすぎないが、私が主張する社会主義論(〈協議経済〉)と具体的な政治課題についての主張をワンセットにして分かりやすくまとめたつもりである。
 叶うことなら、社会主義をめざしているはずの政党や党派や活動家や研究者から問題にされ、批判されたり論議を呼ぶとうれしいのだが、「社会主義」が死語に近い扱いとなっている風潮のなかでは取り上げるものはほとんどいない。そこで、私の周辺の人たちに批評をお願いして論議を起こすしかない。幸い何人かの友人が執筆してくれたので、以前に出した著作についての短評や論文も集めて、ブックレットにすることにした。まったく面識も縁故もないのに、戴いた、山田太一さんの手紙は、望外でとてもうれしかった。
 加えられた批判については、さらに考察を深めたいと考えているが、〈生存権〉についてだけ述べておきたい。憲法の前文と第二五条に「生存権」と明記されていることは周知である。ところが、長いあいだ日本共産党では「生存権」は禁句とされ、「生存の自由」という不自由な言葉をわざわざ使っていた。私は、一九九八年にアントン・メンガーの『労働全収益権史論』に学んで、〈生存権〉の重要さに注意を喚起し、社会主義像の根底に据えなければならないと主張した。今では「赤旗」でも「生存権」が大きな見出しで書かれ、「生存の自由」は使われなくなった。また「ベーシックインカム」なる言葉が近年ようやく使われ出したが、私は〈生存権〉によって原理的に基礎づけながら、アンドレ・ゴルツなどを引いて類語を紹介した(それをさらに発展させたのが、〈生活カード制〉である)。「連帯経済」もそうである。二〇〇五年のブラジルでの世界社会フォーラムの売店のテントに大書された「連帯経済」の文字を紹介したが、今では、日本でも散見されるようになった。この一〇月に、四〇年も持続している、経済学者の集まりである「独占研究会」で〈協議経済〉をテーマに報告する機会が生まれた。少しづつは問題にされるようになったのかも知れない。
 この小さな冊子が、いっそう深まる閉塞状況を打破し脱出するヒントになり、〈社会主義へ討論の文化を!〉の一端を切り開くきっかけになればと切望する。
                             村岡 到
 二〇〇七年一一月七日 ロシア革命九〇周年に

目 次

はしがき

Ⅰ 『悔いなき生き方は可能だ』への批評

村岡到さんへの手紙           山田太一  
〈愛〉の理念からの探求         斉藤日出治
「チャベス革命」がとりもつ縁      石橋 純
人生と社会の在り方への真摯な問いかけ  紅林 進
協議社会主義の原像           小松善雄
 はじめに
 1 村岡氏の協議型社会主義像
 2 マルクスの協議社会主義像
 むすび
村岡社会変革論の現実性と空想性     千石好郎
連帯社会主義の前に連帯個人主義を    碓井敏正
  ──村岡社会主義論によせて      
 1 愛は社会主義を可能とするか
 2 連帯社会主義から連帯個人主義へ
「敵」側に立っていた者として      霧山 昴
村岡到さんとの二九年          岡田卓己

Ⅱ これまでの著作への批評

自由な精神による新しい理想への挑戦──『協議型社会主義の模索』を読んで     塩沢由典   
政治と法に焦点を当てた社会主義──『連帯社会主義への政治理論』を読んで     斉藤日出治
政治の多元主義的把握への野心的な試み──『連帯社会主義への政治理論』を読んで  西川伸一
則法革命への疑問──『連帯社会主義への政治理論』の合評会から          深津真澄
 キーコンセプト 
 則法革命への疑問
社会主義と法のあいだ──『生存権・平等・エコロジー』を読む           大江泰一郎
  はじめに
 1 歴史がわれわれに語るもの
 2 〈世界を解釈すること〉について
 3 三つの契機とそれを結ぶもの──〈政策〉か〈法〉か? 
 むすびに代えて
日本共産党の再生力への期待と確信──村岡到『不破哲三との対話』を読んで     碓井敏正

『社会主義はなぜ大切か』への感想
 梅原 猛    斉藤日出治   久留都茂子   
 丸山南里    青木國彦    望月喜市
 池田一貴

付録 〈社会主義の政治システム〉は〈民主政〉 村岡 到 
 はじめに
 1 「労働者階級の権力」でよいのか
 2 「ブルジョアジー独裁」か〈民主政〉か
 3 〈則法革命〉こそ活路

あとがき